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宇宙開発裏話 Vol.20 〜もう一つの冥王星探査〜
このコーナーでは、宇宙開発(ロケットや人工衛星)に関する裏話を紹介していきます。 今年7月、NASAの探査機「ニューホライゾンズ」が冥王星を探査します。 先日1月15日、準備段階「AP1」に突入し、冥王星到着に備え始めました。 到着とはいっても、冥王星の横を通過してすぐにバイバイするフライバイ探査で、詳しく探査できるのはほんの数日です。ニューホライゾンズの重量はわずか500kgほどに抑えられており、2006年にアトラスVロケットの一番大きなタイプで打ち上げられました。打ち上げ時の速度は人類史上最も速い、なんと16.5km毎秒!その速度でも9年もかかるほど、冥王星は遠いのです。 冥王星やその衛星の観測を終えた後は、太陽系の外縁天体にいくつか接近し、先輩のボイジャーを追い越します。今回はかつてボイジャーで行われるはずだった、幻の冥王星探査についてお話しましょう。 1973年に構想された、ボイジャーの元となったグランドツアーミッションにおける軌道計画(左)と実際のボイジャー1号、2号の軌道(右)の比較。(NASA/JPL, 1973) ボイジャー1号と2号は、175年周期で訪れる、外惑星の連続的な探査が可能な軌道「惑星グランドツアー」を利用して外惑星の素顔を明らかにしました。 先に打ち上げた2号が木・土・天・海を探査したのに対し、 16日遅れて打ち上げ、あとから追い越した1号は木・土のみでした。 実はこの1号に冥王星を探査するプランがあったのです。 1号の冥王星探査は、土星スイングバイから6年後の1986年春に行われる予定でした。しかしこの軌道の場合、土星の衛星タイタンに近づけません。後に続く2号も、タイタンから遠いところを通過する予定でした。 タイタンか、冥王星か? 大激論の末、NASAは冥王星よりもリスクが少なく、得られる科学的知見が多いと思われるタイタンを選びました。当時はまだ、カロン含む5つの衛星が見つかっておらず、カイパーベルト天体についても知られていなかったのです。 続く by Fujii |
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