黄華堂☆星空ブログ

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身の回りの光の科学 Vol.06
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    2015年は「国際光年」ということで、このカテゴリーでは私たちの身近にある様々な光の疑問について解明してきました。最終回の今回は光そのものについてお話したいと思います。


    部屋の電気を点けたり夜道で車のライトを点けると、暗かったのが一瞬にして明るくなりますよね。身近過ぎて気にも留めなかったかもしれませんが、一瞬にして明るくなるのは光の速さが関わっています。光は自然界において一番速く、1秒間に約30万km進みます。と言われても桁が大きすぎて分かりにくいですよね…。これは、1秒間に地球を7周半もしてしまう速さなのです。


    こんなにも速い速度、いったいどのようにして導きだされしたのでしょうか?光の速さの測定を初めて試みたのはガリレオ・ガリレイでした。まずA地点とB地点があるとします。A地点に居る人が明かりを灯し、B地点の人へ光を送ります。その光を見たB地点に居る人はすぐに自分の明かりを灯し、A地点の人へ光を送ります。その時間差から光の速さを測定します。もし光が伝わるのに時間がかかるのなら、距離を延長すればするほど時間は長くかかるはずですよね。AB間の距離を延長し、測定を繰り返します。しかしこの実験ではAB間が数kmと短い距離であったこと、光の速さが速すぎたことから思うような結果は出ず、失敗に終わってしまいました。


    それから科学者たちは光の速さを求めるために様々な実験をします。地上での実験で最初に光の速さを求めたのはフィゾーでした。フィゾーの実験は光源が鏡を反射して返ってくる時間を測ることによって速度を求めるという至ってシンプルなものでしたが、そこに歯車を挟むことによって計測を成功させました。





    歯車には歯と歯の間にすき間があり、歯車を出発した光が鏡を反射して歯車の歯と歯のすき間に返ってきた場合、観測者からすると明るい光が見えます。しかし歯車の速度を変えて、歯車を出発した光が歯車の歯に当たってしまう場合、観測者からすると暗い光が見えます。そのようにして、光が往復する時間や歯車の回転数を計算して得られた
    のが光は1秒間に約31万km進むという速度でした。フィゾーの実験後、より正確な光の速度を計測するために科学者たちは様々な実験をし、現在の1秒間に約299792.458km進む速さという結果に至っています。


    「いち」と数えている間に地球を7周半してしまう光。
    これだけ聞くと非常に速いなぁと感じますが、光って本当に速いのかな?と思ってしまうことがあります。それは地球から星までの距離のお話を聞いたときです。皆さんは「光年」という単位を知っていますか?光年という単位は星までの距離を表すときに用いられます。1光年は光が1年で進む距離のことを示し、その距離はなんと約9兆4600億kmにもなります。


    私たちの住む地球が含まれる太陽系から最も近い恒星(アルファ・ケンタウリ)まで約4.3光年、つまり光の速さで4.3年はかかるのです。1秒で地球を7周半する光が4.3年もかけないと隣の恒星まで行けないのは驚きですよね。また冬の大三角の一部であるシリウスまでの距離は約8.6光年です。ですから、今見ているシリウスの光は8.6年前に出発した光が私たちの目に届いているということになります。


    光の速さでこれだけの年数がかかると考えると、宇宙っていかに広いのか、感慨深くなりませんか?今度夜空の星を見上げたときに、自分が見ている星は何光年先にあるのか、調べてみるとおもしろいかもしれませんね。


    参考文献/参考HP
    ・國友正和他(2012年)『改訂版 高等学校 物理機擔研出版
    ・縣秀彦他(2014年)『天文年鑑2015年版』誠文堂新光社

    by Yamamichi

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    身の回りの光の科学 Vol.05
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      虹ってどうしてできるの?太陽はなんで眩しいの?赤外線や紫外線って何?テレビってどうして映るの?など私たちの生活には身近だけど意外と知らない『光』に関することがたくさんあります。それらをわかりやすく噛み砕いていく、国際光年にちなんだ特集コンテンツです!!

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      2015年の大晦日、日本の理化学研究所が新しい元素である「113番元素」の命名権が獲得できるのではないかという嬉しいニュースが話題になりました。今日は、その「113番元素」はどういったものなのか、またどのようにして証明されたのかということを簡単にご紹介したいと思います。


      そもそも元素とは何なのか。
      「水兵 リーベ 僕の船〜」と聞くと、何か聞いたことがあるなと思われると思います。これは、元素の周期表と言い、ロシアのメンデレーエフが提唱した元素の一覧表を覚える語呂合わせです。水素や硫黄、鉄やアルミニウムといったもの
      も元素です。

      元素とは、
      「すべての物質には、つくるもとになっているものがあり,最も基本となる成分を元素という」

      と言われています。その元素は、陽子というプラスの電荷(電気のプラスをイメージしましょう)と電子というマイナスの電荷をもつもの、そして電荷をもたない中性子というもので出来ています。その一つ一つの性質は、主に陽子によって決まると言われています。なので、元素の中にある陽子の数のことを原子番号と呼びます。原子番号が1は水素。12は炭素(図1)。26なら鉄といった具合です。そして今回の新元素は113個の陽子をもつ元素ということになります。



      図1元素の構造

      では、元素はすべての物質のもとになっているものなのに、「合成した」とはどういうことでしょう。
      元素のもと(陽子と中性子)を原子核といいます。原子核は、ある程度以上に大きくなるとだんだん不安定になってきます。安定に存在できる最大の元素は、陽子82個と中性子126個から成る鉛208です。これより大きな原子核はどれも粒子を放出したり、真っ二つに分裂したりして徐々に壊れていきます。その壊れるスピードを半減期といい、短いほど不安定な元素である、ということになります。

      天然から見つかる最大の元素は原子番号92のウランです。これも徐々に放射線を出して壊れていきますが、45億年という極めて長い半減期を持つため長い地球の歴史を持ちこたえ、天然から鉱石の形で発見されているわけです。そしてこれより大きな原子番号を持つ元素は天然には存在せず、全て人工的に作り出された元素なのです。

      by Noguchi

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      身の回りの光の科学 Vol.04
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        季節はすっかり秋となって日没が徐々に早くなってきましたね。
        学校の帰り道、夕焼けの美しさに見とれてしまう今日この頃です。さて、皆さんはなぜ夕焼けが赤いのか気になったことはありますか?昼間の太陽はギラギラと地上を照らしていて空の色は青色なのに対して、夕焼けの太陽は赤く、空も赤色に染まっています。また昼間の太陽は直視してはいけないと言われているのに対して、夕焼けの太陽は直視しても問題はありませんよね。同じ太陽なのになぜ色に違いがあるのでしょうか?



        空に色がついて見えるのは太陽光が大気中にある水蒸気やちりなどの粒子に当たり、光の方向が不規則に散らされるからです。このように光が散らされることを「散乱」といいます。散乱の度合いは粒子の大きさと光の波長の長短に関係してきます。

        次に波長についてお話しましょう。光は波の性質を持っています。波の山と山、もしくは谷と谷までの長さを「波長」と呼び、ナノメートル(nm)という単位が用いられます。私たちの目に見える光は可視光線という領域で、380nmから780nmの範囲で波長が短ければ短波長、波長が長ければ長波長と呼びます。また可視光線よりも短い波長は紫外線、X線、ガンマ線に分類され、可視光線よりも長い波は赤外線、電波に分類されます。



        図1:光の種類


        私たちの目に見える光の領域、可視光線は波長の違いによって色の違いが生じます。
        短波長ほど紫色や青色、長波長ほど赤色になります。さて、ここからが本題です。昼間の空は青く、夕方の空は赤い。それはなぜなのか、先ほどお話しした光の散乱と波長がポイントとなります。光は波長によって散乱の度合いが異なり、粒子の大きさが光の波長より小さいときは短波長の光が散乱されやすく、長波長の光は散乱されにくいのです。

        さらに、大気をどれだけの距離で光が通過してくるかというところも重要です。昼間、太陽光が地球に届くまでの間に短波長の青い光が散乱されており、私たちはこの青い光を見ています。しかし夕方になると太陽光は昼間よりも長距離大気を通過するために青い光は散乱してしまい、散乱しにくい長波長の赤い光だけが私たちの目に届くのです。


        図2:太陽光が大気を通過する距離


        宇宙にも波長と色が関係している現象があります。それはドップラー効果です。家や街中で救急車や消防車のサイレンの音が聞こえたとき、こちらに向かってくるときは高い音だったのに通り過ぎると音が低くなったという経験はありませんか?この現象をドップラー効果といいます。音は波なので近づいてくるときには沢山の波がやってきます。

        そして遠ざかるときには近づいてくるときよりもやってくる波の数が減ります。天体からの光も同じように波なので、天体が観測者から近づくように運動していれば短い波長が観測され、逆に、遠ざかるように運動していれば長い波長が観測されます。この観測結果により、その天体は地球から見てどのように運動しているのかを知ることができるのです。このような雑学を知っていると空の見方が少し変わるかもしれませんね。

        【参考文献/参考HP】
        コニカミノルタ-色色雑学
        Photonてらす
        ・福江純 (2004年)『最新天文小辞典』東京書籍株式会社

        by Yamamichi

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        身の回りの光の科学 Vol.03 続き
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          虹ってどうしてできるの?太陽はなんで眩しいの?赤外線や紫外線って何?テレビってどうして映るの?など私たちの生活には身近だけど意外と知らない『光』に関することがたくさんあります。それらをわかりやすく噛み砕いていく、国際光年にちなんだ特集コンテンツです!!

          今回は前回のレーザーポインターのお話の続きです。

          レーザーが通常のドラゴンボールの孫悟空と違う点は、放射された光が同じ様に励起状態にある他の原子に衝突して、同様の遷移を誘発するところにあります。つまり、スーパーサイヤ人状態の悟空が複数いたとして、一人が打ったかめはめ波が別の悟空にあたった場合、その瞬間にその悟空もついカメハメ波を打ってしまいます。そして2回目のカメハメ波が別の悟空にあたってしまうと、その瞬間にかめはめ波を……ということが起こっています。(あくまでもイメージであることを忘れないでください笑)このように他の原子から出る光に誘導されて放射される光を誘導放射と言います。


          誘導放射(位相・方向が同じ)

          つまり、自然放射の光から、誘導されてどんどん光が増幅していくので、”誘導放射による光の増幅”という意味 の“LASER”になったんですね。そして、その光は全て同じエネルギーであるので、単色の光となります。また、誘導放射された光は位相(波の山や谷)と進行方向がそろっているので、最初にあげた3つの直進性・単色性・可干渉性を持ちます。どうですか?少しはレーザーについて分かっていただけたでしょうか。



          今回は空の話ではなく、「レーザーポインター」という身近にあるミクロの世界で起こる光の科学について説明しました。しかし、今回の原理は、地球上だけではなく宇宙の星々から出ている光にも関係している話なのです。例えば、”誘導放射によるマイクロ波の増幅”として”Microwave Amplification by Stimulated Emission of Radiation”の頭文字をとって”maser(メーザー)”というものが存在します。

          宇宙には大量に原子や分子が存在します。星から発せられた光が、エネルギーの高い原子や分子の中を通過すると、メーザーを起こすことがあると言われています。水分子や水分基、一酸化ケイ素を起源とするメーザーがすでに見つかっており、メーザーの観測によって星の運動などがよく調べられています。ちなみにメーザーが発見されることで知られているのはブラックホール周りの降着円盤や星形成領域、赤色巨星などが挙げられます。また種となる星の光が十分に増幅されて地球に届くので、電波望遠鏡では望遠鏡の方向を確認する電波源として用いられることもあります。



          大質量星形成領域IRAS 20126+4104の赤外線画像(R.Cesaroni et al.2013)

          《参考文献》
          ・国立天文台 大量のガスを一気に呑みこむ小さな怪物天体
          (http://www.subarutelescope.org/Pressrelease/2015/06/02/j_index.html)
          ・株式会社キーエンス レーザの仕組み
          (http://www.keyence.co.jp/marking/special/school/study/principle.jsp)
          ・生物物理計算化学者の雛
          (http://masa-cbl.hatenadiary.jp/entry/20130109/1357738635)
          ・大質量星形成領域が銀河面から遠ざかる様子をVERAで観測
          (http://www.astroarts.co.jp/news/2015/05/29vera/index-j.shtml)

          by Noguchi

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          身の回りの光の科学 Vol.03
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            みなさん、こんばんは。Noguchiです。
            朝晩の気温が下がり、夏も徐々に終わり秋の気配を感じる季節になってきましたね。今日は、皆さんが一度は見た事がある道具について紹介したいと思います。「レーザーポインター」です。


            レーザーポインター


            プレゼンを行う際に指し棒の代わりに使われることも多いので人によっては身近なものではないでしょうか。僕たちも観望会などで星を指し示すのに使用したりします。レーザーポインターの良い点は、暗い場所で使える事や遠くまで指し示すことができることですが、今回はその仕組みを、有名アニメをイメージして簡単に説明したいと思います。

            レーザーポインター(以下レーザー)の特徴は、主に3つです。
            1つめは、直進性です。
            レーザーから出る光は広がることなく、真っ直ぐに進みます(これは指向性ともいいます)。2つめは、単色性です。いろんな色が混じる事無く、1つの色の光(エネルギーが同じ)で出来ています。3つめは少し難しいですが、レーザー同士を重ね合わせると光の波の山と山、谷と谷がそろい強め合う可干渉性という性質があります。これらの特徴に対し、一般的なランプ等の光源からは、四方八方に広がる光が発せられ、いろんな色も混ざっています。蛍光灯が白いのもその理由です。


            光の三原色(各色が混ざると白色になります)


            ランプとレーザー光の特徴の違い



            では、どうしてレーザーはこのような特徴があるのでしょうか。レーザーは、”誘導放射による光の増幅”という”Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation”の頭文字をとって“LASER”と言われます。『誘導放射?増幅?』ってなりますよね。では、簡単に説明しますね。

            光を出すことを放射といいます。この放射は、原子や分子といった小さな世界で起こっています。原子や分子は外部からエネルギーを吸収すると、下準位(低いエネルギー状態)から、上準位(高いエネルギー状態)に移ります。この状態を励起状態と言います。

            イメージでいうと(もちろん原理は違いますよ!)、ドラゴンボールに出てくる孫悟空がある時ご飯を食べてスーパーサイヤ人になったと考えてください。スーパーサイヤ人はずっと長く続かないですよね。かめはめ波を打つと元の状態に戻ってしまいます。もちろん出せるパワーも、食べたご飯分ですよね(他のみんなからの元気玉は考えません)。原子にとっても励起状態は、不安定で長く同じ状態ではいられません。すぐに低いエネルギー状態に戻ろうとします。これを遷移といいます。このときに原子はエネルギー差に相当する光を放出します。この現象を自然放射と言います。この自然放射と誘導放射は別の話です。では、誘導放射とは何なのか。

            続く

            《参考文献》
            ・国立天文台 大量のガスを一気に呑みこむ小さな怪物天体
            (http://www.subarutelescope.org/Pressrelease/2015/06/02/j_index.html)
            ・株式会社キーエンス レーザの仕組み
            (http://www.keyence.co.jp/marking/special/school/study/principle.jsp)

            by Noguchi

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            身の回りの光の科学 Vol.02 続き
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              虹ってどうしてできるの?太陽はなんで眩しいの?赤外線や紫外線って何?テレビってどうして映るの?など私たちの生活には身近だけど意外と知らない『光』に関することがたくさんあります。それらをわかりやすく噛み砕いていく、国際光年にちなんだ特集コンテンツです!!

              前回はケミカルライトの光る仕組みに化学反応が関係していることを紹介しました。

              そんな化学反応によって光るケミカルライトに対して、実は空に輝く星たちの光にも”化学”が関係しています。一概に”星”といってもいろいろがあるので、身近な太陽を例に説明します。太陽は主に”水素”と”ヘリウム”のガスからできています。このガスには地球と同じように重力が働くので、中心に向かって収縮していきます。すると、ガスはどんどん温度が上がっていき、1000万K(ケルビン:温度の単位)を超えると水素の原子核がある反応を起こし、ヘリウムの原子核を生成します。この反応を”核融合反応”といいます。


              この核融合反応は詳しく説明すると難しいので、結論を言うと、この核融合反応によって光や熱のエネルギーが放射され、太陽は輝きます。そして恒星として分類される星は基本的にこの太陽と同じ仕組みで輝くのです。


              太陽(NASA)

              家族でお祭りや花火大会で見かけるケミカルライト、夜空に輝く星ですらその光には”化学”が関係しているのですね。今回は紹介していないですが、花火の光というのも”化学”が関係しています。身の回りにある光にはどんな”化学”が隠されているのか、疑問を持って、調べてみると面白いかもしれませんね。

              by Yamamichi

              参考文献/参考HP
              ・中西貴之 (2012) 『実はおもしろい化学反応』(知りたい!サイエンス) 株式会社技術評論社
              ・「日本オムニグロー株式会社」< http://www.lightstick.co.jp/>

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              身の回りの光の科学 Vol.02
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                「お祭りでよく見かけるケミカルライトってどうして光るの?」


                ケミカルライト

                じめじめとした湿気と蒸し暑さが梅雨を感じさせますね。そんな梅雨もあけて、海開きや花火大会など夏らしいイベントが盛りだくさんです。家族でお祭りに行く人も多いのではないでしょうか?そこで必ずといって良い程、光る”あるもの”を見かけます。それは…...

                ケミカルライトです。

                別名でサイリューム(日本オムニグロー株式会社の商品)とも呼びます。パキッと折るだけで何時間も光り、雰囲気を盛り上げてくれます。なぜパキッと折るだけで何時間も光り続けるのでしょうか?今回は、ケミカルライトのなぞに迫りたいと思います!



                ケミカルライトの光は電気で光らせているのではありません。
                ”ケミカル”は日本語に訳すと”化学的な”という意味になります。”ケミカル”ライトという名前ですから、なんだか化学が関係していそうですね。ケミカルライトは2種類の化学物質が”化学反応”することによって光っています。それは「シュウ酸ジフェニル」と「過酸化水素」です。シュウ酸ジフェニル?過酸化水素?なんだそれ!となると思いますが、そんなのがあるんだ〜と思ってくれたら良いです。その2つが混ざり合うことによって光が生まれます。その光に色を付けることによって、赤、オレンジ、黄、緑、青など様々な光の色ができあがるのです。


                ではケミカルライトはどのような形になっているのでしょうか?どこに「シュウ酸ジフェニル」と「過酸化水素」が入っているのか、ということですね。左の図のようになっています。チューブの中に「過酸化水素水」とうすいガラスが入っています。さらに、うすいガラスの中には「シュウ酸ジフェニル」が入っています。これをパキッと折ると中のうすいガラスが割れて、「シュウ酸ジフェニル」と「過酸化水素」が混ざり合い、混ざり合うことによって光が発生します。私たちがケミカルライトを使うときにパキッと折るのは、中の液同士を混ぜて光らせるためだったのですね。


                光る仕組み

                by Yamamichi

                参考文献/参考HP
                ・中西貴之 (2012) 『実はおもしろい化学反応』(知りたい!サイエンス) 株式会社技術評論社
                ・「日本オムニグロー株式会社」< http://www.lightstick.co.jp/>

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                身の回りの光の科学 Vol.01 続き
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                  前回は先生どうしてレントゲンって体の中をうつせるの?」と子どもにどう答えるか!ということからレントゲンの正体を紹介しました。今回は「X線で例えば宇宙を見たらどうなるでしょう」という疑問にお答えします!!




                  X線はエネルギーがとても大きな光で、宇宙には僕らの地球におけるエネルギーとは比べものにならないほど大きなエネルギーが溢れています。なので、X線で宇宙を見ればギラギラ輝いているものをたくさん見ることができるのです。


                  (©NASA)

                  これはX線の望遠鏡で見たある星です。
                  いったいなんでしょう??
                  答えは私たち人間の生活には欠かせない、昼間には毎日のように見ている星、「太陽」です。昼間に太陽を直接見ようとすると、眩しくて長く見ることはできません(視力が悪くなる可能性があるので、我慢してでも見てはいけません。)これは電磁波の中でも可視光線という光が地球に届いているからですが、それ以外にも太陽は赤外線や紫外線、そして「X線」でも輝いているのです。そんなX線で見た太陽ですが、普段私たちが見ている太陽とは少し様子が違うのがわかると思います。

                  たとえば周りにぼやーっとしたものが広がっています、これは「コロナ」といって太陽の表面よりさらに外側が、200万度をも超えるような高温のプラズマ(少し特別な気体のようなもの)に覆われているのです。



                  さらにX線で宇宙を見たときに見つかるものの代表とも言えるのが「ブラックホール」です。
                  人類ははくちょう座の首元がX線でとても明るく輝き、そこに「CygX-1(はくちょう座X-1)」というブラックホールがあることを発見しました。しかし、ブラックホールは重力が強く光すらも吸い込まれてしまうので、私たち人間の目には見えません。それではなぜX線で輝いているのでしょうか?

                  その正体はブラックホールがガスできた星を吸い込むときにあります。ブラックホールに近くに星があった場合、その星を構成するガスはブラックホールの重力によって吸い込まれませす。しかし、このガスは一気に吸い込まれて消えてしまうわけではありません、なんとブラックホールの周りにガスの円盤(降着円盤)を作ってしまうのです。そしてこの円盤が高温となり大量のX線を放出することになります。


                  (ブラックホール降着円盤イメージ:アストロアーツ)

                  太陽やブラックホールを始め宇宙にはX線で輝いている星がたくさんあります。レントゲンやX線、ほかの光に関する話題に出た際には、ぜひこんな話をしてあげると子どもたちの興味・関心を刺激することができるかもしれませんね。

                  by Noguchi

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                  身の回りの光の科学 Vol.01
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                    虹ってどうしてできるの?太陽はなんで眩しいの?赤外線や紫外線って何?テレビってどうして映るの?など私たちの生活には身近だけど意外と知らない『光』に関することがたくさんあります。それらをわかりやすく噛み砕いていく、国際光年にちなんだ特集コンテンツです!!


                    「先生どうしてレントゲンって体の中をうつせるの?」

                    今年度小学1年生の担任をしております、Noguchiです。
                    先日ふと学校の6年生の児童にこんな話を聞かれました。手をケガしたときに、病院でレントゲンを初めて撮ったそうです。さて、みなさんは子どもたちに質問をされて答えることができますか。

                    私は以下の内容を簡単に説明しました。

                    まずは、そもそもレントゲンという名前の由来は?
                    今の時代、体内の健康状態を詳しく知るために欠かせないのがレントゲンです。この名称はレントゲン検査時に使われる「X線」を発見したレントゲン博士からとったものです。では、そのX線って何なのか。X線は、テレビや携帯電話の電波、電灯の光などと同じく、電磁波の一種です。ただ、X線は電磁波の中でも持っているエネルギーが非常に大きく、”物質を透過する”という能力を持っています。もちろんどんな物質でも同じように透過するのではありません。鉛などは透過しづらく、木やプラスチック、そして人体は比較的透過しやすいのです。


                    (出典wikipedia)

                    ただ、人体の中でも骨がある場所もあれば、心臓のように血液がたくさん集まっている場所、肺のように空気が多く存在している場所などもあります。もちろん各場所によって人体に入射したX線は、反対側までたくさん突き抜けるものや、弱くなって出てくるものなど細かい差ができます。


                    その差を医療用のX線画像は、反対側からたくさんX線が出てきたところを黒く、弱くなったところは白く写すようになっています。そのため、透過しやすい肺などの臓器は黒くなり、透過しにくい骨などは、白く写ることになります。


                    (出典http://sangyo.hokenshi.net)

                    その6年生の児童は、リモコンの先から出ている見えない波のようなものはイメージで理解してくれていました。ただ、リモコンを遮るとチャンネルが変わらないので、透過するという考えがなかったそうです。今回のように、骨の検査じゃないときは、バリウムという薬品をのんで撮影するんだよというと児童はびっくりしていました。

                    続く

                    参考文献
                    ・子どもの「なんで?」がわかる本 たまきみけ、新田哲嗣著、株式会社トライアングル
                    ・はたらく人の保健室 http://sangyo.hokenshi.net

                    by Noguchi

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